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☆新年のご挨拶

(2013.1.11)
新年明けましておめでとうございます。
去年を振り返ってみると、講演会は平均週一回のペースでやっていました。最盛期に比べると半分くらいの数になってしまいましたが、それでも僕はとっても楽しく全国各地を周り、色々なところで講演をさせてもらいました。
 余暇の時間はどのように過ごしていたかといいますと、趣味の釣りを楽しみました。こちらも基本的には週一回のペースで行い、一年の納めになった最後の釣りでは鮃を釣ったのですが、なんと18枚も釣れました。僕は今まで鮃釣りを5回やりましたが、5回併せても16枚しか釣れませんでした。今回の6回目はそれらを併せた数よりも多く、且つ大きな鮃が釣れたので1年の締めくくりとしては大満足の結果でした。2013年の釣りも、更に腕が上がるように頑張りたいと思います。また、全国各地で釣りを楽しみ、そしてできれば釣り番組などにも出演していきたいと思っております。
 とはいえ、去年の一番のイベントは、年末に行われた総選挙です。僕も日本人並みに、日本の政治には大分絶望しておりました。少しばかり期待していた民主党政権は成果を全く上げることができず、そして他の政党にも全く魅力を感じることができませんでした。例え僕が日本国籍を持っていたとしても、選挙は棄権したのではないかと思います。そんな中で自民党の圧勝となったのは、日本の選挙制度の結果としか言えません。実際、投票した人の3割程度しか自民党に投票してないのに、小選挙区のほとんどが自民党の勝利となりました。昔の中選挙区制度であれば結果は違っていたと思います。世界のいろんな国では、いろんな選挙制度がありますが、なぜ日本が小選挙区制度にしたのかは疑問で仕方ありません。
 僕が日本に住み始めた四半世紀前、ちょうどリクルート事件が起こって世の中では「政治改革」が非常に盛んになり、その下で40年近く続いた自民党政権に代わり、細川連立政権が発足しました。そしてこの連立政権の最大の業績は、政治改革の実行となっています。しかし、多くの国民が期待していたのは腐敗政治、政治家が企業から賄賂をもらいそれによって政治が動く、という制度が変わることだったと思いますが、その動きはあまり見られず、結局は「選挙改革」に留まりました。その「選挙改革」は3年半前の民主党の大勝を招いた、中選挙区を小選挙区に移すという改革でした。考えてみると、沢山の政党が乱立してそれぞれが主張をする中で、国民の意見を反映できるのは中選挙区制度ではないかと思います。票が割れる地区で一人だけが当選するとなると、例えばその人が得票率20%程度でもその地区の代表となってしまう、これは数学者の僕からみるととってもおかしな話なのです。中選挙区制度であれば、自民党の人はもちろん、他の政党からも2、3人の当選者が出ると思います。
 外国の制度をみてみると、ヨーロッパのいくつかの国では完全比例代表制が普通となっています。つまり、それぞれの党の議員の数は、得票率に比例して決まるのです。小選挙区の場合には、ポスターで顔を見てその中から選ぶ、そしてその人が自分の代表となるという、言ってみれば利点もありますが、よほどの有力議員でなければ大多数の議員が投票マシンとなってしまうのです。自分の党が“Yes”と決めたら“Yes”、“No”と決めたら“No”と投票するので、完全比例代表制度でもっと民意が反映されると僕は思っています。
 最近選挙が行われたのは日本だけではありません。お隣の国、韓国でもとても僅差で政権続投という結果になりました。それをみても、民主主義制度についてかなり考えさえせられます。国民の有効投票の51%が一人の候補に、49%がもう一人の候補に入れた場合、51%の得票だったほうが勝利感を得たとしても、49%の国民は絶望感を感じることになるのです。何かもっと良い制度はないか、と数学者の僕は考えています。  民主主義という制度は決して多数派の圧政のためにできたわけではないはずです。民主主義制度の意義は、できる限り多くの国民に自分の望んだ通りに生き、人生を楽しんでもらうというものであるはずです。たった1〜2%の差で、自分の選んだ候補が無視され、もう一方の政党がその国の政権を握るということは、どこか納得がいきません。皆さんはどう思っているでしょうか。
 日本の話に戻りますが、安倍内閣が選挙前から掲げてきたことの一つに憲法改革があります。これはつまり、日本人が戦後ずっと重んじてきた平和憲法から9条をはずし、日本を再び戦争できる国にしよう、というものです。前回の安倍政権の頃にこの準備が始まりました。その時の国民投票法案では、国会で方針が決まったらその後は国民投票を行い、50%以上の賛成票を得れば、たとえ51%の得票率でも憲法を改正するという結果になるのです。これもやり方としては、僕は甚だ疑問を感じます。
 イタリアでは、国民投票が成り立つために、2つの条件があります。1つは日本と同じように、有効投票数の中で賛成派が反対派を上回るということです。そしてもう1つは、投票した人の数が全有権者数の半数を超えるということです。これはとても大切な違いです。何故かというと、例えば国民の40%しか投票しなかった場合、その中で8割が賛成票だったとしても、これは全有権者の32%にしか当たらないのです。国民の32%の意見で憲法が改正されるのはとてもおかしなことです。日本でもまだ遅くないので、国民にとって最も大切な、唯一国民に様々な権利を与える法律である憲法、その改革をする制度をもっと厳しくするべきだと思います。
 様々な課題を投げかけましたが、僕としては今年も楽しく生き、そして将来へ向けての前向きな生き方を、講演会やテレビ出演などを通じて皆様に伝えていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いします。
 

☆週三回野球部

(2012.3.28)
東京は広い街で、23年住んでいますが、まだまだ知らない場所がいっぱいあります。時には裏道に入ったり、そのうち大通りに出れば大丈夫だろう、と想定したのとは違う道で歩いたりして、かなり遠くまで行ってしまうこともあります。

昨日もそうして歩いていると、2つの高等学校に通りかかりました。都立駒場高等学校と都立第一商業高等学校です。後者には横断幕が掲げてあり、そこには「ソフトボールチームが関東公立高等学校大会へ出場!」と書いてありました。それを見て、僕は自分が前から持っているアイデアは素晴らしいのではないか、と自画自賛しました。どういったアイデアかといいますと、高等学校において、運動だけを一所懸命頑張る運動部、運動を全くしない文化部もしくは帰宅部の他に、もう一つ選択肢を設ければいいのではないか、というものです。具体的には、運動も勉強もやりたいという人のために、週3回だけ活動をする部活を設けるというものです。

部活動を頑張っていると、当然他の部の人と対戦したい、競争したいという気持ちが芽生えてきます。しかし週3回しか練習をしない部の人たちは、年がら年中活動をしている人たちと同等に戦うことは難しい。そこで、週3回だけの部活のための地域大会、全国大会を設けたらどうか思うのです。昨日見た横断幕に書いてあるように公立学校のソフトボール大会が可能ならば、週3回だけの部活、愛好倶楽部、そういった部のための大会を設けることも実現可能なのではないでしょうか。

僕の生まれた国、ハンガリーでは、数学の全国大会にも色々な種類があります。中でも文部科学省が主催の、高等学校のための大会が一番大きくて、そこでトップ10に入ると全国の大学に推薦入学ができるのです。ところが、そういった大会をよく見ると3種類にわけてあります。普通科クラスのためのもの、理数科クラスのためのもの、数学を専門に勉強しているクラスのためのものという3種類です。数学専門クラスのある学校はハンガリーで10校ほどしかなく、週10時間程度数学を学んでいます。僕の住んでいた地域にはそういった学校がなかったので、理数科のクラスに通い、そのクラスのための大会に参加していました。

人は、自分が参加する大会で優勝したり準優勝したり、また、参加するだけでも大きな喜びが産まれます。日本でも、プロの大会以外でも様々なスポーツ大会が行われていて、アマチュアの大会もたくさん開催されています。今はすっかりプロのための大会となってしまったオリンピックも、昔はアマチュアのための大会だったのです。そのように変わってしまったことは非常に残念ですが、しかし、世の中の人の圧倒的多数は、スポーツをやってもなかなかプロにはなれないのが現実です。たとえプロにはなれなくても、健康のため、身体を鍛えるため、楽しみのためにスポーツをやっている人たちの応援になる大会も、とても有意義でしょう。

僕のアイデアをぜひ東京都から発信してほしいと思います。週3回野球部、週3回サッカー部を設けたら、きっと学生は十分集まります。そして、そういった部のための都大会があれば、そこで優勝したい、入賞したい、と頑張る学生がでてきます。たとえ週3回スポーツをしても、土日を除いてあと2日間は勉強に加えて映画鑑賞・劇場鑑賞・博物館見学などにあてることもできる。逆に言うと、東京などの都会に住みながらこのような活動を殆どしないのはもったいな過ぎるでしょう。現在の選択肢の下、運動部に入って運動を一所懸命やる、文化部もしくは帰宅部で運動を全くしない、という中では、やはり運動部に入りたがる人のほうが多いと思います。そこに中間の選択肢も設ければ、「大学受験や将来の人生のことを考えると、運動や勉強以外にもいろいろ経験したほうがいいのでは」というご両親の意見なども踏まえ、週3回の運動部に入って、まさに文武両道を実現しながら、はば広い視野を持つ豊かな人間に成長できるのではないでしょうか。皆さんはどう思いますか?
 

教育再生・東京円卓会議

(2012.2.24)
明けましておめでとうございます。
新年の挨拶が大変遅くなってごめんなさい。
今回は、先週出席した教育円卓会議について書きたいと思います。

都庁から教育円卓会議の依頼をいただき、石原慎太郎都知事、猪瀬直樹副知事、小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトを率いたことで一躍有名になった宇宙航空研究開発機構(JAXA)川口淳一郎さんと、理数科教育のあるべき姿について、議論をしました。
数学者として、また日本のたくさんの小中高校において講演をしている身として、非常に関心の高い話題でしたので、喜んで引き受けました。会議までに自分の意見をまとめ、海外の例なども色々調べました。会議自体は1時間半であっという間に終わってしまったため、自分の言いたいことの半分も言えなかったのですが、とても有意義で楽しい時間を過ごすことができました。

短い時間ではありましたが、僕が教育改革として大切だと考えていることの一部を述べることができました。
日本は明治以降、文武両道を理想としてきた国です。それは自分としても賛同できることでした。子どもにとって、勉強だけではダメ。それだけでは将来明るい良い人間にはなれないと思うからです。実際、運動は脳細胞にも良い影響を与えるらしいのです。
しかし、現実として日本の学校は、運動部に重点を置いています。その結果勉強は二の次となり、多くの先生は自分の教える学科に費やす時間よりも、運動部の顧問としての時間のほうが長いのではないかと思います。
また、2002年度以降、公立学校において学校週5日制が導入され、土日の授業がなくなりました。にもかかわらず、結局は土日も運動部の活動時間にあてられ、教育の運動部への偏りに拍車がかかったのです。
そこでピーターが提案したいのは、運動部と同等な科学部の設立です。
例えば、野球をやりたい人はやって良いでしょう。しかしそれと同時に数学や物理、化学や生物などに関心がある児童たちのためにも、学校はその活動を毎日一所懸命できる環境を整えるのです。
そうすることで、学校の中は真の文武両道となるのではないかと思います。
さらに、その活動を学校内にとどめず、ほかの学校の同様な部との交流、地域でのコンテスト、などの発表の場を提供すれば、科学の醍醐味をわかって、大学でもその専門の勉強を続ける若者がどんどん出てくるでしょう。このように部活は大リーグに通用する野球選手と共に世界的な科学者もたくさん生み出すと思います。

円卓会議の中でも紹介したのですが、僕にとってとても嬉しいことがあります。昔算数オリンピックで知り合った、数学の天才的な才能を持った片岡俊基くんという青年がいます。彼は三重県の高田高等学校に入学しました。数学はもちろん、運動にも強い関心をもち、初めはサッカー部に入っていました。しかし、サッカー部にいると自分の好きな数学をやる時間がまったくなくなってしまったのです。
そこで、彼は自分で数学ジャグリング部を設立しました。部活動としては、主に彼の指導のもとで、数学の問題を解いたり、問題を作ったりする。また、ジャグリングや一輪車の練習をするのです。
彼こそ、自分が作った部の中では文武両道を実現した人物だと思います。
彼はその後、数学オリンピックで4回も日本代表になり、金メダルも銀メダルも獲得するという、素晴らしい成績を収めたのです。

(つづく)
 

☆イタリア人の9割は原発に反対?

(2011.7.4)
イタリアで原発再開の是非を問う国民投票が6月12、13日に行われた。14日に開票作業が終了し、内務省によると、投票率は54・79%、原発再開への反対票は94・05%に達した。国民投票は成立した。

イタリアの国民投票制度は不思議である。ある議案が可決するための条件として、ひとつには「有効投票の過半数を獲得する」というものがあり、これはどこの国でも当たり前のことである。問題となるのはもうひとつの条件、「有権者の半分以上が投票へ行かないと議案自体が成立しない」ということだ。これがかなりの足かせになっており、イタリアでは過去計62回の国民投票のうち成立したのは35回。有効投票の過半数が賛成でも、かなりの議決が通らなかったのだ。

たとえ有権者であっても、よほど興味がなければ投票には行かない。法律とは本来国会が決めることであり、どうでもいいことを国民投票で決めるのはどうなのか、と疑問を抱く国民が多いのだ。

投票に行く人が極端に少ない場合、棄権者の意志を尊重して現状維持になるのは仕方のないことだが、こういう決め方によって人の戦略が変わる。

例えば原発問題について、反対派が六割、推進派が四割だった場合、推進派の人たちが国民投票でとるべき戦略は「投票に行かないこと」である。推進派が投票に行くことは自分たちに不利益に働くからだ。

四割である推進派がまったく投票に行かず、反対派六割のうち八割が投票に行ったとしても、有権者の48%しか行かなかったことになる。すると半分を超えていないため、国民投票としては認められず不成立に終わってしまうのだ。そのような「無投票の戦略」を推進派がとったのならば、原発反対派はイタリア国民全体の94.05%であったとは言えない。

過半数以下の支持をもっている人たちにとって、投票に行かないことが一番良い戦略ということになってしまう制度自体がおかしいのだ。民主主義の基本というのは、より多くの人が意見を出しあってひとつの議案を決める、ということにあるのに、最良の戦略によって投票率が下がってしまうのは本末転倒である。投票率が下がれば下がるほど、民意は反映されないからだ。

そういった裏にある戦略の結果示された数字だけを取り上げて騒ぎ立てるマスメディアについても、僕は疑問を抱いている。
 

☆ピーターからのメッセージ

(2011.6.2)
東日本大震災が発生してから間も無く3ヶ月になる。
犠牲になった方々のご冥福を祈りつつ、被害者皆様にお見舞い申し上げます。
復興が思うように進まないことで、日々のニュースを読む・聴くのも嫌になってしま う。

阪神淡路大震災はボランティア元年になったらしい。美しい諺「災い転じて福と成す」の通りとも言える。
犠牲者のためにも今回の震災を「丸々元年」にしないといけないだろう。
ピーターの提案は「時短元年」である。
先進国の中でも輸出黒字が多い2つの大国、日本とドイツを比較すると似ているところが多い。
天然資源が殆ど無いのに敗戦後は奇跡的な復興を果たした。労働力と技術の水準が高くて、国民は真面目で一所懸命であるなど。
一方、様々な違いもある。例えば、日本人に較べてドイツ人は全く時間に追われてない。労働者は残業をせず、年に6週間の有給休暇を楽しむ。

省エネ、電力不足が懸念される今日、日本も同じことを目指すべきではないだろうか。
そのために幾つかの具体例を挙げてみよう。

(1) デパート
日本に来た頃は各デパートは週一の休みがあった。三越は木曜日、西武は水曜日とか。
バブルがはじけてから売り上げを伸ばす目的で定休日はなくなった。それで売り上げが伸びたかと言うとそうでもない。
電気使用量と経費が増えただけだ。考えてみると当然の結果だ。例えば、高島屋のファンであれば、その定休日を避けて買い物に行くけれど、それで服などを買う日は一日ずれることがあっても消費は減らない。
平日に銀ブラをしている人は三越が定休日なら隣の松屋で買い物を済ませるけれどそれで三越は損をすることはない。
なぜなら松屋の定休日は皆三越に来るからだ。

(2) 飲食店
年中無休の所が多いけれどこれは本当に必要なのか?
近くの店同士で提携して、共通のメンバーズカードなどを作って、異なる日を定休日に決める。
必要なら店の入口に提携店の地図などを張るなどの工夫もする。週一の定休日で電気料金などは14%も減る。

(3)学校
ドイツの学校は給食がなく2時前に皆下校。土日は参観日やスポーツ活動も無く、完全休校。
6週間の夏休みを含み、先生方も年に12週間の有給休暇を職場を離れて楽しく過ごす。それでもドイツの教育水準はかなり高い。
その下支えは宿題である。生徒は家で、独りでやるので自主性も高まる。日本でも学校での時間を減らして、宿題を増やす余地が十分ある。
かなりの節電効果は見込まれる。

  日本経済が円高を乗り越えられた原因は生産の効率を上げたことだと言われている。
省エネのためにサービス業、事務や教育の効率をあげることは如何だろうか?
 
 

☆新年のご挨拶

(2011.3.8)
明けましておめでとうございます。今年のご挨拶は遅くなりました。
新年を迎えたのはタイでのこと。0時0分の瞬間はクラビの海で釣りをしていた。夜は昼間より大きな魚が釣れると言われ、試してみた。その情報は正しかったけれど、大きな魚(2キロのコショウ鯛)を釣り上げたのは僕ではなく、船の船長である。一応、四方から上がる花火は僕も愉しめた!
 釣りの面では、タイ旅行は大きな成果がなかったが、決してがっかりはしていない。なぜなら、秋から学んでいたタイ語が結構通じたからだ。方々で出会った人達との会話を愉しむことができた。
以前も何回かタイを訪れたが、得た情報はとても浅いものだった。例えば、
・バンコクはどんどん発展していく
・大型ショッピングモールがまた新たに開店した
・市内を走る高級車が増えた
・高層マンションが林立するようになった
・新空港は成田や羽田より賑やかだ
などなど。
 恥ずかしいけれど、今回は初めてその裏にいる人間が(少し)見えてきた。タイは日本に敗けないほどの格差社会で、お金持ちも大勢いる。しかし一般人の給料はかなり少ない。国家公務員の月給は2万円程度で、何年働いても3万円を超えることは難しい。
 クラビやプーケットなどの観光地などで働いている人たちと話していると、彼らの中にはタイの東北、イーサン出身の人がとても多いことに気がついた。そのイーサンは太宰治時代の日本の東北に似ているところが多い。他の地域より貧しく、子どもが多く、仕事がない。働く意欲と勇気がある人達はどんどん故郷を後にしてしまう。
 クラビのホテルで洋服を洗濯にだした。そこの担当者は30代の女性で、土日も、お正月も、休日なしでバリバリ働いていた。洗濯機の上に、8歳くらいの女の子の、ポスターサイズの写真が飾ってあった。僕はテレビドラマの子役の子かな、と思って「誰ですか?」と聞いてみると、「娘です」という答えが返ってきて驚いた。しばらく話をしてみると、彼女はイーサン出身で、娘が2歳の時にご主人が亡くなったそうだ。イーサンでは仕事が全く見つからなかったので、娘を実家に預けてひとりでクラビに来た。収入の殆どを娘の生活と養育費として送金しているらしい。最後に会えたのは3年前で、写真もその時のものだそうだ。
「お金を恵んで」と言われたら、その話も空想上の身の上話だと思っただろう。しかし、そんなことはなく、とても前向きで、「これで娘が高校を卒業できれば自分も幸せだ」と言っていた。「わたしは暇もお金もなく、可哀想でしょ」という態度は微塵も見せなかった。
 旅行会社でプーケットのホテルを予約した。ファックスで確認を待つ間、20代の女性スタッフと話をしていた。彼女もやはりイーサン出身で、今の自分の仕事にとても満足しているそうだ。勤務時間は毎日10時〜22時で、海で泳いだことは2年間で一度もないけれど、月給は7000バーツ(約2万円)だ。プーケットのホテルに2泊する為に7500バーツを渡すと時、「これは彼女の1ヶ月の賃金よりも高い!」ということに気がついた。「もっと安い宿に泊まって、余ったお金をタイの人々に提供する方法はないのか」と考えた。
 
 

☆TV出演情報

(2010.11.30)

2010年12月18日(土) 19:56〜22:30
日本テレビ『世界一受けたい授業』  
 

初めての体験

(2010.5.17)
image
この間面白い依頼が入ってきました。

なんと、NHKの人気大河ドラマ、『龍馬伝』へ出演してほしいと!

それを聞いた時には、「俳優でも日本人でもない僕が!?」と驚きました。

よくよく話を聞いてみると、僕の役は龍馬が活躍する江戸時代にフランス公使をやっていたロッシュさんという人の役でした。もちろん喜んでOKしました。

彼のことを調べてみたのですが、日本人を高く評価している人であり、僕と共通しているところもいくつかありました。例えば、彼は自分の生まれた国(フランス)を20歳の時に出て、父親が仕事をしていたモロッコへ渡り、そこで外国語を勉強したそうです。そしてその語学力が買われて、のちにモロッコやアルジェリアでのフランス公使を務め、ついに日本にも来たのです。

僕にとって『龍馬伝』出演は人生初の大河ドラマ出演となりました。

事前に衣装合わせやリハーサルなどあり、僕にとってはとっても面白い体験がたくさんありました。NHKのスタジオに当時の江戸時代の光景が立派に再現され、付け髭などをつけて僕自身でも自分の顔かどうかわからないくらい変身し、イギリス人やアメリカ人公使と一緒に話合いをしたり、幕府の使者と話をしたり…

とっても良い想い出となる数日間を過ごしました。

その結果としてできた大河ドラマのシーンを是非多くの人に観ていただきたいと思います。ピーターのことも「あのフランス人がピーターだ!」とわかってもらえると嬉しいです。

ちなみに日本に来て公式な仕事の場でフランス語を使ったのはこれが始めてです。

以前NHKの討論会において英語でお話ししたことがあります。もちろんいつもは日本語でお話していますし、母国ハンガリーを訪れ、TV番組でハンガリー語を使ったり、東欧5ヶ国がEUに加盟した際にはチェコ語でTVに出演したこともあります。しかし、国籍になっているフランス語を使ったのは今回が初めてなのです。

観て下さった方は是非ご感想をお寄せください!
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